2025年 北嶺中学校 理科(2)

2025年度 北嶺中学校 理科 分析と解説(大問3~4)

◎大問3

昨年(2024年度)に引き続き、計算問題を含むヒトの循環器や消化器の問題です。

この問いや教科書などには、人体の内臓ないぞうや骨格の図がよくありますが、これらの図は相手がこちらを向いた状態で描かれていることに注意しましょう。

(1)

肝臓かんぞうは、身体の右のろっ骨(問題8ページの図にある細い弓状の骨)の内側にある大きな臓器です。胃は、身体の中央の「みぞおち」とよばれる部分にあり、問題の図のように一部は肝臓の裏側にかくれます。

\(\underline{\rm{答. エ}}\)

 

肝臓は人体でもっとも大きな臓器で、栄養分の合成や有害物質の分解など、いくつもの大切なはたらきをしています。そのため、多くの血液が肝臓には流れ込んでいます。

肝動脈、肝門脈を合わせて1日に肝臓に流れ込む血液量は、5×(0.1+0.2)×60×24=2160(L)です。

\(\underline{\rm{答. 2160L}}\)

 

小腸が胃につながっている最初の部分を十二指腸とよびます。指12本を並べたくらいの長さであることが名前の由来であると言われます。十二指腸は消化に関して大切な役割をしていて、胆汁たんじゅうが注がれる管のほか、いくつもの消化液を分泌ぶんぴつする部分があります。

\(\underline{\rm{答. 十二指腸}}\)

 

タンパク質は生物にとって重要な物質で、非常に多くの種類があります。しかし、タンパク質はちっ素、酸素、水素からできているため、分解されると有害なアンモニア(窒素と水素でできている)ができます。このアンモニアは、肝臓で尿素という無害な物質に変えられて、尿として排出されます。

\(\underline{\rm{答. イ}}\)

 

(2)

ヒトの血管は心臓の大動脈(直径約2cm)からはじまり、次第に枝分かれして細い動脈となり、最後は毛細血管とよばれる直径100分の1mmくらいの血管になって、全身をおおいます。そして、その毛細血管は集まって静脈となり、次第に合流して太くなり、最後は大静脈となって心臓に戻ります。

これらの血管を1本につなぐとすると、およそ10万㎞にもなると言われます。

\(\underline{\rm{答. カ}}\)

 

上記①の大動脈、大静脈と合わせて、心臓には大きな4つの血管があります。血液がそれぞれを流れる順番と、流れる血液に含まれる気体は次のようになります。

・大動脈(心臓から全身に血液を送る):酸素を多く含んだ血液

・大静脈(全身から心臓に血液が戻る):二酸化炭素を多く含んだ血液

・肺動脈(心臓から肺に血液を送る):二酸化炭素を多く含んだ血液

・肺静脈(肺から心臓に血液が戻る):酸素を多く含んだ血液

・大動脈

酸素が多い血液を「動脈血」、二酸化炭素が多い血液を「静脈血」と言いますが、上のように、肺動脈、肺静脈には名前と逆の血液が流れていることに注意しましょう。

これは、心臓から出て行く血管を動脈、心臓に戻って来る血管を静脈と呼ぶためです。

\(\underline{\rm{答. ウ}}\)

 

(3)

心臓は胸のほぼ中央にある、にぎりこぶし大の大きさの臓器です。

\(\underline{\rm{答. オ}}\)

 

(4)

問題文6ページの「北くん」の、以下の3つの言葉から考えます。

・心臓の近くではなく、少し離れた場所

・1枚は左心室側の胸の下

・もう1枚は心臓の反対側の胸の上

\(\underline{\rm{答. ア、ケ}}\)

 

 

◎大問4

「オームの法則」は正式には中学校で学習しますが、大切なきまりですので、今のうちに、きちんと理解しておきましょう。

(1)

電流で熱を発生させて光る白熱電球や、ガラス管内で放電して電子エネルギーから光を得る蛍光灯けいこうとうとは違い、発光ダイオードは電子の持つエネルギーを直接光に変換することができます。そのためエネルギー消費が少なくて済みますが、電流の向きによって、光ったり光らなかったりします。

 

コンデンサーは、電気をたくわえたり放電したりできる電子部品で、テレビやコンピューターなど、多くの電気製品で使われています。

\(\underline{\rm{答. ①\cdotsイ、②\cdotsア}}\)

 

(2)

電流計は、電熱線に流れている電流の大きさそのものを測るので、電熱線に直列につないで測定します。

電圧計は「2点間の電気を流そうという力の差(=電圧)」を測るので、電熱線に並列につないで測定します。

\(\underline{\rm{答. イ}}\)

 

(3)

オームの法則「電圧=電気抵抗×電流」にそのまま当てはめて計算します。電圧=20×1.5=30(V)です。

\(\underline{\rm{答. 30V}}\)

 

問題文の【実験2】から、並列につないだ2つの電熱線には、同じ電圧がかかることがわかります。したがって、上記①から、電熱線Eにかかる電圧も30Vとわかります。オームの法則の式を変形すると、「電流=電圧÷電気抵抗」と表せますから、電流=30÷30=1(A) です。

\(\underline{\rm{答. 1A}}\)

 

回路を流れる電流の大きさは、常に一定になります。ここでは、電熱線Dと電熱線Eの部分で電流は2つに分かれているので、回路を流れる電流の大きさは1.5+1=2.5(A)です。したがって、オームの法則の式から、電熱線Cにかかる電圧は8×2.5=20(V)となります。そして、電熱線D・Eには30Vがかかっているのだから、問題文の図2のように、両方を加えると全体の電圧は20+30=50(V)となります。

\(\underline{\rm{答. 50V}}\)

 

(4)

問題文にあるように、電力は「電流×電圧」で計算できます。

手順2では電圧が3Vとわかっているので、あとは電流の大きさを求めればよいことになります。実験3で電熱線Aの電気抵抗は2Ωなので、そこを流れる電流の大きさは、電圧÷電気抵抗=3÷2=1.5(A)です。したがって、電力は1.5×3=4.5(W)です。

\(\underline{\rm{答. 4.5W}}\)

 

(5)

上記(4)と同様に、実験4それぞれの場合の電力を下のように計算します。

電熱線A(2Ω)に6Vをかけたとき:電流は6÷2=3(A)なので、電力は3×6=18(W)です。

電熱線B(3Ω)に3Vをかけたとき:電流は3÷3=1(A)なので、電力は1×3=3(W)です。

電熱線B(3Ω)に6Vをかけたとき:電流は6÷3=2(A)だから、電力は2×6=12(W)

これを表にまとめると下のようになります。

  電熱線A(2Ω) 電熱線B(3Ω)
電圧3V 4.5W 3W
電圧6V 18W 12W

この表と、問題文にある水温上昇の値からグラフを作成すると次のようになります。

 

(6)

上記(5)のグラフからもわかるように、水温上昇は電熱線の電力に比例しています。その割合は3Wごとに2℃です。問題文の図2から、手順6のコップRの電熱線は2×10=20(W)ですから、水温は\(2\div3\times20=13.3333\cdots\fallingdotseq13.3(\rm^{\circ}C)\)になります。

\(\underline{\rm{答. 13.3^{\circ}C}}\)

 

(7)

上記(6)と同じように考えます。問題文の図3から、手順7のコップSの電熱線は5×6=30(W)ですから、水温は\(2\div3\times30=20(\rm^{\circ}C)\)になります。

\(\underline{\rm{答. 20^{\circ}C}}\)

 

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