2025年 北嶺中学校 理科(1)

2025年度 北嶺中学校 理科 分析と解説(大問1~2)

本年度入試では、例年通り大問は4問、小問総数は例年よりやや多い31問(2022年度は24問、2023、2024年度は27問)でした。

生物分野では「AED」、地学分野では「オーロラ」、「異常気象」や天気図など、日常生活にかかわりのある事象・現象、環境問題、時事問題などをもとに出題されています。普段の生活や新聞・テレビで報道される科学的事象に常に関心を持ち、疑問点は調べるなどの対策が必要です。

中には耳慣れない言葉も出てきますが、慌てずに対応することが大切です。たとえば、大問3のAEDの問いも、AEDをきっかけとはしているものの、設問の一つひとつはヒトの臓器の位置、消化器や循環器じゅんかんきのしくみやはたらきに関するものなので、落ち着いて考えましょう。

また、大問4の「電熱線の発熱」など、現在の小学校の学習範囲にとどまらない発展的内容の問いもあります。「オームの法則」など問題文の中で説明はされていますが、このような計算問題を制限時間内に解くには、事前に学習し理解しておくことが大切です。

毎年、計算を必要とする問題は多く出題されていますが、本年度の大問4はほぼ全問が電熱線の発熱に関する計算問題でした。

 

2025年度の出題内容は次の通りです。

大問1 (地学分野:天体、気象、地質) 解説はこちら

(1) 「オーロラ」と太陽の活動
(2) 「国際宇宙ステーション」の動き
(3) 太陽高度の計算
(4) 化石燃料の種類
(5) 天気図の読み取り
(6) 流れる水のはたらき

大問2 (化学分野:気体の性質、もののとけ方と温度) 解説はこちら

(1) 二酸化炭素の性質
(2) アンモニアの性質
(3) アンモニア水溶液の性質
(4) 気体の体積と重さ
(5) 尿素にょうそが水温によって溶ける量の変化

大問3 (生物分野:[AEDの使い方を通して]人体のつくりとはたらき) 解説はこちら(近日公開予定)

(1) 消化器系(おもに肝臓について)
(2) 循環器系(血管について)
(3) 骨格系(ろっ骨と心臓)
(4) 心臓の位置と構造

大問4 (物理分野:電流のはたらき=オームの法則の活用) 解説はこちら(近日公開予定)

(1) 電子部品のはたらき
(2) 電流計・電圧計のつなぎ方
(3) 電流・電圧の計算
(4) 電力の計算
(5) 電力と発熱の計算
(6) 電熱線の発熱(直列つなぎの電熱線)
(7) 電熱線の発熱(並列つなぎの電熱線)

 

◎大問1

(1)

「太陽フレア」は、さまざまな規模のものが不定期に起こり、大きなものは数年に一度発生しています。その時は、オーロラが普段は見られない北海道で観測されたり、地球上や人工衛星の電子機器が影響をうけたりすることがあります。

\(\underline{\rm{答. フレア}}\)

 

(2)

地球を周回しているISSの軌道きどうを真下の地表に降ろしたものが地図上の軌跡きせきで、「地上軌跡」とよばれています。問題文の図1のように、ISSの軌道は地球儀上では円を描きますが、平面の世界地図の上に地上軌跡として表すと、Sの字を描いたカーブになります(下図の赤線)。これは球体の地球を平面の地図で表そうとすると、緯度が大きくなるほどひきのばされるからです。また、図1で考えると分かりますが、ISSは地球が自転しても、極地方を通過することはありません。そして、ISSは90分で地球を1周しますが、ISSが1周する間に地球も自転するので、もとの位置上空には戻れず、軌跡は少しずつ西にずれていきます。

\(\underline{\rm{答. イ}}\)

 

(3)

右の上図のように、太陽を中心に地球は公転していますが、地球の自転の軸が23.4度傾いているため、右の下図のように、太陽は夏至には北緯23.4度の真上から、冬至には南緯23.4度の真上から、春分・秋分の日には赤道の真上から、地球を照らすことになります。したがって春分の日には、赤道上(南緯0度)で南中高度が90度だから、南緯37度のオークランドでは、南中高度は90-37=53(度)となります。

\(\underline{\rm{答. 53度}}\)

 

 

(4)

シェールオイルは、普通の油田より深い地層に閉じ込められている石油のことで、でき方は石油と同じです。シェールとは頁岩けつがんという泥岩の一種のことで、化石をよく含んでいます。アノマロカリスなどを含む、約5億年前の生きものたちである「バージェス動物群」は、カナダのバージェス頁岩層より発掘されました。

エタノールは石油や天然ガスからも合成できますが、バイオエタノールはサトウキビやトウモロコシなどの生物を原料に作成されたエタノールで、再生可能エネルギーとして注目されています。

\(\underline{\rm{答. ウ}}\)

 

 

(5)

日本の上空には常に西寄りの風が吹いているので、低気圧や前線も西から東へ移動します。その速さは大体時速30~50mと言われています。この問いでは、11月7日に日本列島に沿うようにある寒冷前線と、北海道付近にある低気圧に注目すると、分かり易いと思います。また、大阪-東京間がおよそ500kmであることも目安になるでしょう。

\(\underline{\rm{答. 8日\cdotsウ 9日\cdotsイ 10日\cdotsア}}\)

 

 

(6)

3人で手をつないでカーブを曲がると、いちばん外側の人は速く歩かねばなりません。これと同じように、川の流れは外側が速いので、川岸や川底をけずるはたらきが大きく、内側は流れが遅いので、運ばれてきた土砂が積もります。

\(\underline{\rm{答. ア、エ}}\)

 

 

 

◎大問2

(1)

二酸化炭素は無臭で、空気の約1.5倍の重さがある気体です。水によく溶け、「炭酸水」とよばれる弱酸性の液になります。

\(\underline{\rm{答. ア、エ、キ}}\)

 

 

(2)

アンモニアは水にたいへんよく溶ける気体で、0℃の水1㎤に1000㎤以上溶けます。また、重さは空気の約0.6倍と軽いので、集めるのにはウの「上方置換」とよばれる方法を用います。

\(\underline{\rm{答. ウ}}\)

 

 

(3)

フェノールフタレイン溶液は、リトマス紙と同じように酸性・アルカリ性を区別する「指示薬」とよばれる薬品です。フェノールフタレイン溶液は酸性や中性では無色ですが、アルカリ性では赤色を示します。

\(\underline{\rm{答. イ}}\)

 

(4)

1Lの重さが1.25gの窒素ちっそと、1Lの重さが1.43gの酸素が4:1で混じっているのだから、その重さは1.25÷(4+1)×4+1.43÷(4+1)×1=1.286≒1.29(g)です。

\(\underline{\rm{答. 1.29g}}\)

 

(5)

80℃の水100gに400g溶けるので、同じ温度の水150gなら、400÷100×150=600(g)溶けます。

\(\underline{\rm{答. 600g}}\)

尿素は20℃の水100gに100g溶けるので、20℃の水150gには100÷100×150=150(g)溶けます。上記①から80℃の水150gには600gの尿素が溶けているので、溶けきれずに出てくるのは600-150=450(g)です。

\(\underline{\rm{答. 450g}}\)

80℃の水100gに尿素が400g溶けると飽和ほうわするので、飽和水溶液の濃度は400÷(100+400)×100=80(%)です。したがって80℃、400gの飽和水溶液は、400×0.8=320(g)の尿素が400-320=80(g)の水に溶けた状態だとわかります。尿素は20℃の水100gに100g溶けるので、水80gには80gまで溶けます。したがって、溶けきれずに出てくる尿素は320-80=240(g)です。

\(\underline{\rm{答. 240g}}\)

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