2025年度 北嶺中学校 算数(1)
2025年度 北嶺中学校 算数 分析と解説(総評・大問1、2)
本年度入試では、例年通り大問は5問、小問総数は昨年度から1問減り、23問でした。このうち、大問1は計算問題が4題、大問2は単問形式の小問が5題でした。
難度が高い問題は、大問2(5)、大問4(4)、大問5(2)
易しい問題は、大問3(1)、大問4(1)(2)(3)
それ以外の問題は、北嶺中学校入試として平均的な難易度の問題でした。
2025年度の出題内容は、次の通りです。
大問1 解説はこちら
(1) | 整数の四則計算(結合法則の利用) |
(2) | 分数の四則計算 |
(3) | 分数・小数の四則計算(還元算) |
(4) | 時間の四則計算 |
大問2 解説はこちら
(1) | 比の問題(倍数算) |
(2) | 数の性質(循環小数・数列) |
(3) | 平面図形(等積関係) |
(4) | 数の性質(コラッツ予想) |
(5) | 点・線の移動 |
大問3 解説はこちら
・割合、情報の整理
大問4 解説はこちら
・立体図形(相似比・体積比・立体切断)
大問5 解説はこちら
・立体図形(水と容積)、複合条件の処理
◎ 大問1
例年通り4問の構成でした。近年やや複雑化しつつある北嶺の計算問題ですが、高度な計算力を必要とする問題はありません。ていねいに取り組み、確実に得点しましょう。
(1)
\begin{align*}
& 16\times11+161\div7\times13+165\times7\div15-23\times23
\\[9pt]=&16\times11+23\times13+11\times7-23\times23
\\[9pt]=&\left(16+7\right)\times11+23\times13-23\times23
\\[9pt]=&23\times\left(11+13-23\right)
\\[9pt]=&23
\end{align*}
\(\underline{\rm{答. 23}}\)
(2)
\begin{align*}
& \frac{1}{12}+ \frac{2}{11}\div \frac{3}{10}+ \frac{4}{9}\times \frac{5}{8}\div \frac{6}{7}
\\[9pt]=&\frac{1}{12}+ \frac{2}{11}\times \frac{10}{3}+ \frac{\cancel{4}^1}{9}\times \frac{5}{\cancel{8}^2}\times \frac{7}{6}
\\[9pt]=&\frac{1}{12}+\frac{20}{33}+\frac{35}{108}
\\[9pt]=&\frac{9+35}{108}+\frac{20}{33}
\\[9pt]=&\frac{11}{27}+\frac{20}{33}
\\[9pt]=&\frac{121}{297}+\frac{180}{297}
\\[9pt]=&\frac{301}{297}
\\[9pt]=&1\frac{4}{297}
\end{align*}
\(\underline{\rm{答. 1\cfrac{4}{297}}}\)
(3)
\begin{align*}
\left\{\left(\boxed{\phantom{hoge}}+0.08\right)\times6-\left(5-15\div4\right)\div\frac{5}{7}-0.025\right\}\times5&=3\frac{1}{8}
\\[9pt]\left(\boxed{\phantom{hoge}}+0.08\right)\times6-\left(5-\frac{15}{4}\right)\times\frac{7}{5}-0.025&=\frac{25}{8}\div5=\frac{5}{8}
\\[9pt]\left(\boxed{\phantom{hoge}}+0.08\right)\times6-\frac{\cancel{5}^1}{4}\times\frac{7}{\cancel{5}^1}&=\frac{5}{8}+0.025=\frac{5}{8}+\frac{1}{40}=\frac{13}{20}
\\[9pt]\left(\boxed{\phantom{hoge}}+0.08\right)\times6&=\frac{13}{20}+\frac{7}{4}=\frac{12}{5}
\\[9pt]\boxed{\phantom{hoge}}+0.08&=\frac{12}{5}\div6=\frac{2}{5}
\\[9pt]\boxed{\phantom{hoge}}&=\frac{2}{5}-0.08=0.32
\end{align*}
\(\underline{\rm{答. 0.32}}\)
(4)
昨年に続いて時間の計算問題が出題されました。(4)は時間に限らず、単位を用いた計算が出題される傾向にあります。
\begin{align*}
& \rm{\left(48分32秒\right)\times4-\left(3時間46分34秒\right)\div7}
\\[9pt]=&\rm{3時間14分8秒-32分22秒}
\\[9pt]=&\rm{2時間41分46秒}
\end{align*}
\(\underline{\rm{答. 2時間41分46秒}}\)
◎ 大問2
小問数は例年通り5問でした。
(1)、(2)、(3)は典型題、(4)も一度は見たことがある問題です。
(5)はやや労力のかかる問題だったといえます。
(1)
倍数算の典型的な問題です。
最初と最後で所持金の和は変化しないため、比の和をあわせます。
8+7=15、4+5=9なので、15と9の最小公倍数である45で比をあわせると、A:B=24:21\(\rightarrow\)20:25となります。
ここから、AとBの増減である4が1200円にあたるため、最初のAの所持金は\(1200\div4\times24=7200\rm{円}\)です。
\(\underline{\rm{答. 7200円}}\)
(2)
\(\cfrac{3}{7}\)を小数に直すと、0.428571428571……と、428571を1組とする循環小数になります。
このとき、小数40位までの数をすべて並べると、428571の組が6組と、4285まであるので、その和は\(\left(4+2+8+5+7+1\right)\times6+4+2+8+5=181\)です。
\(\underline{\rm{答. 181}}\)
(3)
問題文より,㋐と㋑の面積が等しいことがわかっているので、㋐+㋒と㋑+㋒も等しいといえます。
このとき,\(\rm{㋑+㋒}=20\times20-20\times20\times3.14\times\cfrac{1}{4}=86\rm{cm^2}\)なので、三角形ADEの面積も86㎠です。したがって、\(\rm{DE}=86\times2\div20=8.6\rm{cm}\)となります。
\(\underline{\rm{答. 8.6cm}}\)
(4)
数学上の未解決問題「コラッツ予想」をもとにした問題です。コラッツ予想とは、「『ある整数が偶数のときは2で割り、奇数のときは3倍して1をたす』という計算をくり返すと、いつか必ず1となる」というもので、2025年現在、いまだ完全な証明には至っていません。
コラッツ予想を着想元とした中学入試問題としては、2023年度灘中学校(2日目)などが存在します。
さて、この問題での計算の規則は、
・ある整数が偶数のときは2で割る
・ある整数が奇数のときは1をたして2で割る
となっています。
この規則にもとづいて、4回の計算をくり返したとき、右の図のように計算が行われます。この図から、1回の計算で1となる数は1個、2回の計算で1となる数は2個、3回の計算で1となる数は4個、と増えていくので、6回の計算で1となる数は、1×2×2×2×2×2=32個あります。
\(\underline{\rm{答. 32個}}\)
※別解
上の図から、4回の計算で1となる数の範囲は、2を3回かけた数8よりも大きく、2を4回かけた数16以下の8個であることがわかります。
同じように考えると、6回の計算で1となる数の範囲は、2を5回かけた数32よりも大きく、2を6回かけた数64以下の32個になります。
(5)
PQとCDが平行になる瞬間は2回あり、それぞれ次の図の通りです。
また、AからDCまで垂直に線を引くと、3辺の長さが3cm、4cm、5cmの直角三角形ができます。P、QはそれぞれADとBC上にあるので、AD:BC=5:4であることを利用して考えていきます。
・1回目
PQ間は7cm離れているので、QD+PC=7-6=1cmです。
QD:PC=AD:BC=5:4より、\(\rm{QD}=1\times\cfrac{5}{9}=\cfrac{5}{9}\rm{cm}\)なので、Qは\(6+\cfrac{5}{9}=6\cfrac{5}{9}\rm{cm}\)動いたことになります。
このときの時間は\(6\cfrac{5}{9}\)秒後です。
・2回目
PQ間は7cm離れているので、AP+BQ=7-3=4cmです。
AP:BQ=AD:BC=5:4より、\(\rm{BQ}=4\times\cfrac{4}{9}=1\cfrac{7}{9}\rm{cm}\)なので、
Qは\(6+5+3+1\cfrac{7}{9}=15\cfrac{7}{9}\rm{cm}\)動いたことになります。
このときの時間は\(15\cfrac{7}{9}\)秒後です。
\(\underline{\rm{答. 6\cfrac{5}{9}秒後、15\cfrac{7}{9}秒後}}\)