2024年度 北嶺中学校 算数(4)
2024年度 北嶺中学校 算数 分析と解説 (大問5)
◎大問5
図形の移動に関する問題です。
一見、立体図形の回転問題のように見えますが、本質としては平面図形(長方形)の回転問題となっています。
なお、平成31年の大問4においても、類似した平面図形の回転問題が出題されています。
(1)
一直線に移動しているだけなので、横から見た図で考えることができます。
A、D(水色)の移動距離は10×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)+8×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)=4.5×3.14
E、H(緑色)の移動距離は8×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)+10×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)=4.5×3.14
B、C(橙色)の移動距離は6×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)=1.5×3.14
F、G(赤色)の移動距離は6×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)=1.5×3.14
なので、A、D、E、Hの4点が直線の長さの最も長くなる頂点で、その長さは4.5×3.14=14.13(cm)です。
\(\underline{\rm{答.頂点\cdots A、D、E、H 長さ\cdots 14.13cm}}\)
②
辺AD、EH、BC、FGが移動した面積は、①の移動距離に幅の3cmをかけて求めることができます。
AD、EH…4.5×3.14×3=13.5×3.14
BC、FG…1.5×3.14×3=4.5×3.14
辺AE(DH)が移動した後にできる図形は、次の図のようになります。
このとき、1回目(水色)、2回目(緑)の回転で作られる図形の面積は、それぞれ5×5×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)+3×4×\(\cfrac{1}{2}\)×2-(4×4×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)+3×4)=9×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)=2.25×3.14(㎠)です。
これを2個組み合わせると2.25×3.14×2=4.5×3.14ですが、中央にある2回どちらでも通る部分の面積を減らさなくてはなりません。この部分の面積を求めることはできませんが、最終的な面積は4.5×3.14よりも小さくなります。
辺AB(DC)が移動した後にできる図形は、次の図のようになります。
このとき、回転によって作られる図形の面積は、5×5×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)+3×4×\(\cfrac{1}{2}\)×2-(3×3×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)+3×4)+4×4×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)=8×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)(㎠)です。
辺EF(HG)が移動した後にできる図形は、次の図のようになります。
これは、辺AB(DC)が移動した後にできる図形と線対称になるので、面積はやはり8×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)(㎠)になります。
これらの中で最も面積が大きくなるのは、辺AD、EHの13.5×3.14=42.39(㎠)です。
\(\underline{\rm{答. 辺\cdots AD、EH 面積\cdots 42.39㎠}}\)
(2)
①
2回目の移動が1回目とは90度ずれているので、分けて考えていく必要があります。
このときの各頂点の移動距離は次の通りになります。
A\(\cdots\)10×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)+8×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)=4.5×3.14
B\(\cdots\)6×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)=1.5×3.14
C\(\cdots\)6×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)+6×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)=3×3.14
D\(\cdots\)10×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)+10×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)=5×3.14
E\(\cdots\)8×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)+8×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)=4×3.14
F\(\cdots\)移動しない。
G\(\cdots\)6×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)=1.5×3.14
H\(\cdots\)8×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)+10×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)=4.5×3.14
したがって、もっとも長い距離を移動した頂点はDで、その長さは5×3.14=15.7(cm)です。
\(\underline{\rm{答. 頂点\cdots D 長さ\cdots 15.7cm}}\)
②
1回目と2回目の移動を分けて考える必要があります。
辺 | 1回目 | 2回目 | 合計 |
AB | 5×5×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)+3×4×\(\cfrac{1}{2}\)×2-(3×3×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)+3×4) | 4×4×3.14×\(\cfrac{1}{4}\) | 32×3.14×\(\cfrac{1}{4}\) |
BC | 6×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)×3 | 3×3×3.14×\(\cfrac{1}{4}\) | 27×3.14×\(\cfrac{1}{4}\) |
CD | 5×5×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)+3×4×\(\cfrac{1}{2}\)×2-(3×3×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)+3×4) | 5×5×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)+3×4×\(\cfrac{1}{2}\)×2-(3×3×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)+3×4) | 32×3.14×\(\cfrac{1}{4}\) |
DA | 10×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)×3 | 9×3.14×\(\cfrac{1}{4}\) | 39×3.14×\(\cfrac{1}{4}\) |
EF | 4×4×3.14×\(\cfrac{1}{4}\) | 4×4×3.14×\(\cfrac{1}{4}\) | 32×3.14×\(\cfrac{1}{4}\) |
FG | 0 | 3×3×3.14×\(\cfrac{1}{4}\) | 9×3.14×\(\cfrac{1}{4}\) |
GH | 4×4×3.14×\(\cfrac{1}{4}\) | 5×5×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)+3×4×\(\cfrac{1}{2}\)×2-(3×3×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)+3×4) | 32×3.14×\(\cfrac{1}{4}\) |
HE | 8×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)×3 | 9×3.14×\(\cfrac{1}{4}\) | 33×3.14×\(\cfrac{1}{4}\) |
AE | 9×3.14×\(\cfrac{1}{4}\) | 8×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)×3 | 33×3.14×\(\cfrac{1}{4}\) |
BF | 3×3×3.14×\(\cfrac{1}{4}\) | 0 | 9×3.14×\(\cfrac{1}{4}\) |
CG | 3×3×3.14×\(\cfrac{1}{4}\) | 6×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)×3 | 25×3.14×\(\cfrac{1}{4}\) |
DH | 9×3.14×\(\cfrac{1}{4}\) | 10×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)×3 | 39×3.14×\(\cfrac{1}{4}\) |
以上より、辺ADと辺DHの移動した面積が最大となり、その面積は39×3.14×\(\cfrac{1}{4}\)=30.615(㎠)です。
\(\underline{\rm{答. 辺\cdots AD、DH 面積\cdots 30.615㎠}}\)