2023年 北嶺中学校 理科(1)
2023年度 北嶺中学校 理科 分析と解説(大問1~2)
本年度入試では,例年通り大問は4問,小問総数も昨年からやや多い27問(2022年度は24問)でした。
このうち、大問1は地学分野、大問2は物理分野から単問形式で出題される問題、大問3は生物分野,大問4が化学分野の問題でした。
いずれも、小学校の学習範囲から出題されているものの、その問いの中には高度で深く考えさせるものが配置され、中学校以上の内容も含まれています。
2023年度の出題内容は,次の通りです。
大問1 (地学分野:天体、気象、地震) 解説はこちら
(1) | 「冬の大三角」 | |
(2) | 星の表面温度 | |
(3) | NASAの宇宙開発計画 | |
(4) | 風の向き、気圧、地震 | |
(5) | 雨量の計算 | |
(6) | 光の速さの計算 |
大問2 (物理分野:てこ、ふりこ、豆電球の明るさと電流の大きさ、音の高さ) 解説はこちら
(1) | ネジ回し(ドライバー)の支点・力点・作用点 |
(2) | ふりこの周期 |
(3) | てこのつり合い |
(4) | 電池・豆電球の並列・直列つなぎと明るさ |
(5) | 回路を流れる電流の向き |
(6) | ギターの弦の長さと音階 |
大問3 (生物分野:モンシロチョウの生態) 解説はこちら
(1) | モンシロチョウの育つ環境 |
(2) | モンシロチョウのふ化 |
(3) | いろいろな昆虫の変態 |
(4) | モンシロチョウのオスメス |
(5) | モンシロチョウの生殖 |
(6) | モンシロチョウのりん粉のはたらき |
(7) | モンシロチョウの眼 |
(8) | チョウと環境問題 |
大問4 (化学分野:酸・アルカリと中和) 解説はこちら
(1) | 水溶液の性質(酸性・中性・アルカリ性) |
(2) | 中和反応とその他の反応 |
(3) | 溶解熱の計算 |
(4) | 中和熱の計算・グラフ作成 |
(5) | 溶解熱と中和熱の計算 |
(6) | 水溶液の濃さと中和熱の計算 |
(7) | 水溶液の濃さと液性 |
◎大問1
(1)
「冬の大三角」はおおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオン、オリオン座のベテルギウスをむすんでできる形です。
「夏の大三角」をつくる、はくちょう座のデネブ、こと座のベガ、わし座のアルタイルと合わせて覚えておきましょう。
\(\underline{\rm{答. ア、エ、カ}}\)
(2)
鉄を熱していくと、初めは赤黒く光りだしますが、しだいに黄色くなり、そして白くまぶしく光るようになります。
このことから、色は温度と関係があることがわかりますが、温度の低いときは波長の長い赤い光がもっとも強く、温度が高くなるほど波長の短い青い光がより強くなっていくからなのです。
星の色も、その表面温度によって違い、青白いものは高く、赤っぽくなるほど低くなります。
例えば赤色のアンタレスは3500℃、黄色の太陽は6000℃、白色のシリウスは10000℃、青白色のリゲルは12000℃と言われています。
\(\underline{\rm{答. イ>ウ>ア}}\)
(3)
NASAは有人月面着陸を目指し1961年「アポロ計画」を発表し、1969年7月に初めて人類が月面立つことができました。
アルテミス計画は、NASAがアポロ計画の後継として提案した複数の月面探査プログラムの総称で、将来的に有人火星探査を行う際の足がかりとして、月面に持続可能な基地の設立を目指しています。
NASAでは、このほかにもいくつもの宇宙開発計画を発表・実施しています。
\(\underline{\rm{答. イ}}\)
(4)
③ 水温が高い熱帯や亜熱帯の海上に発生・発達する低気圧を「熱帯低気圧」とよび、その発生海域により、台風(タイフーン)・ハリケーン・サイクロンと呼び名が変わります。
低気圧の風はその中心に向かって吹いていますが、このとき、地球の自転の影響で、北半球では風が吹く方向に対して右に曲がる力を受けるため、風は中心に向かって右向きの流れ(反時計回りのうず)となり、南半球ではこの逆(時計回り)にうずを巻くことになります。
④、⑤地震は地下で岩石が破砕されることによって起きます。この地震が最初に発生した場所のことを「震源」といい、その真上にあたる地表の地点を「震央」といいます。
また、地震が観測された地点の揺れの大きさは「震度」で表され、地震そのものの大きさ(規模)は「マグニチュード」で表されます。
マグニチュードが大きいと広い範囲で激しく揺れ、マグニチュードが小さくても震源が近いと揺れは大きくなります。
\(\underline{\rm{答. ①〇②〇③×④×⑤×}}\)
(5)
\(1\rm{m^2}\)は、1辺が1mの広さを指します。
縦1m(100cm)、横1m(100cm)、高さ80mm(8cm)の直方体の体積は、\(100\times100\times8=80000(\rm{cm^3})\)です。
\(1000\rm{cm^3}\)が1Lなので、\(80000\div1000=80\rm{(L)}\)になります。
\(\underline{\rm{答. 80L}}\)
(6)
桁数が大きくなるので、0の数に注意して計算しましょう。
\(30\rm{万}\times60\times60\times24\times360=933126600\rm{万(㎞)}\fallingdotseq9\rm{兆}3300\rm{億(㎞)}\)
\(\underline{\rm{答. カ}}\)
◎大問2
(1)
ドライバー(ねじ回し)やドアノブのように、太い部分(輪)に力を加えて回すと、細い部分(軸)に大きな力がはたらくしくみを「輪軸」といいます。(標準教科書6年part3 p75参照)
\(\underline{\rm{答. A\cdotsア、B\cdotsウ、C\cdotsイ}}\)
(2)
ふりこが1往復する時間は、ふりこの長さによって決まり、おもりの重さやふりこの振れ幅によっては変わりません。ですから糸の長さが1mのア、イ、ウが同じ時間となります。
\(\underline{\rm{答. ア、イ、ウ}}\)
(3)
てこの左右で、「支点からの距離×おもりの重さ」が同じになった時つりあいます。
この場合、支点の右側C+Dは、\(30\times10+50\times20=1300\)ですから、左側のAは、\((1300-20\times5)\div20=60\rm{(g)}\)ならつりあうことになります。
\(\underline{\rm{答. 60g}}\)
(4)
豆電球は、豆電球を流れる電流が大きいほど明るく光ります。
電池は直列つなぎの方が電圧が高くなるので電流が多く流れ、豆電球は直列つなぎの方が抵抗が大きくなり電流が流れにくくなるので、この場合、電池が直列で豆電球が並列のイが最も明るくなります。
\(\underline{\rm{答. イ}}\)
(5)
電磁石の実験でも分かるように、導線の周りには磁力線が発生します。磁力線の向きは導線を流れる電流に対し右回りになります。これを「右ネジの法則」とよんでいます。
すなわち電流の向きをネジの進む向きとすると、磁力線はその周りにのネジと同じように右回りの向きに発生するということです。
この問いでは、ウ、エ、キ、クはもともとある地球による磁力線と、電流が流れることで新たに発生した磁力線の方向が違うので、方位磁針はウ、クは左に、エ、キは右に振れます。
ア、イ、オ、カは、もともとあった地球による磁力線と、電流が流れることで新たに発生した磁力線の方向が同じです。電流で新たに生じる磁力線(ア、カは上方向、イ、オは下方向)によって、ア、カは地球の磁力線が強まり、イ、オは地球の磁力線が弱まる効果が生まれます。
いずれの場合も方位磁針のN極は地球の磁力線の方向、つまり上を向いたまま傾きません。ただし、イ、オでは電流の大きさが一定以上になると、地球の磁力線の大きさを電流で生じる磁力線が上回ることになり、方位磁針は現在の逆方向を指します。
\(\underline{\rm{答. ア、イ、オ、カ}}\)
(6)
音は空気の振動によって伝わります。
音の高低は振動数の多寡によって決まり、振動数が多ければ多いほど高い音といえます。
また、ぴんと張った糸を弾いたとき、糸の長さが短いほど振動数が増えるので、高い音が出ます。
これをまとめたものが、下の表です。
ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド | レ | ミ | ||||||||
ピアノ | b | c | a | d | |||||||||||||
6弦 | 開 | ア | イ | ウ | エ | オ | カ | キ | |||||||||
5弦 | 開 | ク | コ | A | コ | サ | シ | ス | |||||||||
4弦 | 開 | セ | ソ |
したがって、高いミの音を出すためには、5弦のスか4弦のソを押さえることになります。
\(\underline{\rm{答. ス、ソ}}\)
なお、弦の長さと音の高低についての問題は、2011年度の算数においても出題されていました。