2022年 北嶺中学校 理科(2)

2022年度 北嶺中学校 理科 分析と解説(大問3~4)

◎大問3

地殻についての問題です。

地殻もマントルも岩石からなる固体ですが、マントルの温度は非常に高いためにゼリーのように動くことができ、マントル内部では対流が発生します。

マントルの上に地殻が乗っているので、マントルが動くとその上にある地殻(プレート)も動くことになります。

これにより、陸地が少しずつ移動したり、海洋プレートが大陸プレートに沈み込んで大地震が発生したりします。

地殻を掘りぬいてマントルに到達しようとする計画が過去に数回行われましたが、いずれも失敗に終わっています。

現在、日本の海洋研究開発機構が地球深部探査船「ちきゅう」を用いて、海底からマントルまで掘り進めることを計画しており、2020年代半ばから実際に掘削される予定です。

 

(1)

問題で問われたような地域のことを、ジオパークといいます。

「ジオ」はギリシャ語(学術的な用語でよく使われます)で地球を意味する言葉、「パーク」は英語で公園を意味する言葉です。

日本では、北海道の洞爺湖有珠山ジオパークや、新潟県の糸魚川ジオパークなど、9か所がユネスコの世界ジオパークに登録されています。

このほか、日本独自のジオパークとして世界ジオパークを含む44か所があります。

\(\underline{\rm{答. ジオパーク}}\)

 

 

(2)

ガラスの原料が何であるか、が大きなヒントになっています。

ガラスは石英を主な原料に作られます。石英の主成分はケイ素と酸素です。よって、答えはウとキになります。

ケイ素を英語で表すと「シリコン」といいます。ケイ素の純粋な結晶は半導体としての性質をもっており、現代の情報技術を支えるのに欠かせない存在となっています。

なお、ガラスの原料を問う問題は、2019年にも大問3(1)で出題されています

\(\underline{\rm{答. ウ、キ}}\)

 

 

(3)

木片の体積は、10×10×8=800(㎤)、木片の重さは800×0.6=480(g)です。

この木片を水から浮かせるためには、480gの水を押しのければよいことがわかります。

480gの水の体積は480㎤なので、水中にある木片の体積もまた480㎤です。

これより、水面から上にある木片の体積は、800-480=320(㎤)となります。

よって、水面から出ている木片の高さは320÷(10×10)=3.2(cm)です。

\(\underline{\rm{答. 3.2cm}}\)

※別解

「比重」の考え方を利用すると、素早く解くことができます。

1㎤あたりの重さが、水は1g、木片は0.6gなので、水と木片の重さの比は5:3です。

2つの物質の重さが同じとき、それぞれの体積の比は1㎤あたりの重さの比の逆比になるので、水と木片の体積の比は3:5になります。

よって、木片が水中にある部分の高さは8×\(\frac{3}{5}\)=4.8(cm)なので、水面から出ている部分の高さは8-4.8=3.2(cm)です。

 

 

(4)

(3)の状態で、水面から上にある木片の体積は320(㎤)でした。

この部分を水に沈むようにするには、さらに320㎤の水を押しのける必要があります。

320㎤の水の重さは320gなので、おもりの重さも320gあればよいとわかります。

\(\underline{\rm{答. 320g}}\)

 

 

(5)

厚さ1cmの氷の体積は10×10×1=100(㎤)なので、重さは100×0.9=90(g)です。

このとき、木片と氷の重さの和は(3)の状態よりも90g多くなるので、さらに90gの水を押しのける必要があります。

90gの水の体積は90㎤なので、90÷(10×10)=0.9(cm)沈むことになります。

このとき、水面から出ている木片の高さは3.2-0.9=2.3(cm)です。

次に、氷の厚さと重さは比例するので、木片の沈む量も氷の厚さと比例します。

よって、氷の厚さが2cmのとき、木片の沈む量は0.9×2=1.8(cm)、

氷の厚さが3cmのとき、木片の沈む量は0.9×3=2.7(cm)です。

このとき、水面から出ている木片の高さは、氷の厚さが2cmのとき3.2-1.8=1.4(cm)、氷の厚さが3cmのとき3.2-2.7=0.5(cm)になります。

これをグラフに表すと、次のようになります。

 

(6)

(4)で計算したおもりの重さを使います。

320gの氷の体積は、320÷0.9=355.55…(㎤)です。

よって、氷の厚さは355.55…÷(10×10)=3.55…(cm)になります。

問題文の指示より、小数第二位を四捨五入すると、答えは3.6cmになります。

\(\underline{\rm{答. 3.6cm}}\)

 

 

◎大問4

わたしたちが通常目にする物質は、全て元素から成り立っています。

元素の粒のことを原子といい、原子は「中性子」と「陽子」からなる「原子核」と、その周りを回る「電子」によってできています。

「核分裂」や「核融合」は、原子核を分裂させて1つの原子を2つにしたり、2つの原子を合体させて1つの原子にすることをいいます。

このとき、大きなエネルギーが発生することから、原子力発電や兵器(原子爆弾)に利用されています。

 

(1)

ア\(\cdots\)人体がプラスに、車のドアがマイナスに帯電することで、人体に電気が流れてきます。痛みを感じるのはこのためです。

イ\(\cdots\)雲の上側がプラスに、下側がマイナスに帯電します。このとき、地上にプラスに帯電したものがあれば、そこに向かって雷が落ちます。

ウ\(\cdots\)吸盤がガラスにくっつくのは、気圧によって吸盤の内側が押されているからです。

エ\(\cdots\)羊毛のセーターがプラスに、ポリエステルやアクリルのシャツがマイナスに帯電し、これらの間で電気が流れます。なお、プラスに帯電するナイロンのシャツを着れば、静電気は発生しにくくなります。

オ\(\cdots\)磁石の同じ極が反発することを利用して、リニアモーターカーは浮上したり移動したりします。

よって、答えはア、イ、エになります。

\(\underline{\rm{答. ア、イ、エ}}\)

 

(2)

問題文より、ポリ塩化ビニル棒はマイナスに帯電しています。

ポリ塩化ビニル棒とガラス棒を近づけると引力が発生したということは、ガラス棒はプラスに帯電しているといえます。

よって、絹の布はマイナスに帯電しています。

\(\underline{\rm{答. ウ}}\)

 

(3)

「移動するのは常にマイナスの電子」ということを念頭において、問題を見ていきましょう。

マイナスに帯電したポリ塩化ビニル棒を近づけると、金属板の内部にある電子がポリ塩化ビニル棒から離れるように動きます。これにより、金属はくに電子が移動するので、金属板にはプラスの電気が現れ、金属はくにはマイナスの電気が現れます。

\(\underline{\rm{答. ア}}\)

 

(4)

人間は金属とが同じように電気を通すので、電子は金属はくではなく人間へ移動します。

よって、金属板にプラスの電気が現れるのは変わらず、金属はくの表面には電気が現れなくなります。

\(\underline{\rm{答. ア}}\)

実際には、人間は金属板よりも電気を通しませんが、金属板を手で触ると金属はくは開かなくなります。

金属はくと人間のもっとも大きな違いは、「地面と接しているかどうか」という点です。

金属はくは、先端まで行くと電子が移動できる場所がなくなるのに対し、人間は、足が地面と接しているため、そこを通じて地面に電子が移動できるのです。

このことを「接地」といいます。

これを利用したものに、避雷針や電化製品のアース線などがあります。

 

(5)

図6の状態から指を離したとき、はく検電器のプラスとマイナスは右の図のようになっています。

金属はくが開いていないので、金属はくの部分はプラスとマイナスがつりあった状態で存在しています。

一方で、金属板の電子は人間の体に逃げてしまっているので、プラスの電気を帯びた状態になっています。

 

 

 

 

ここから、ポリ塩化ビニル棒を離したところ、プラスとマイナスの状態は次の図のように変化します。

金属はくにあった少数の電子が金属板と金属はくの全体に広がり、結果として全体がプラスに帯電するわけです。

 

 

 

 

 

\(\underline{\rm{答. エ}}\)

 

(6)

問題にある図7のうち、中央の図のときに金属はくのプラスとマイナスがつりあった状態にあるといえます。(B=0)

ポリ塩化ビニル棒が近くになかったときは、(5)と同じく金属はくにある電子が金属板にあったので、全体がプラスに帯電していました。(A=+)

よって、A=+、B=0となるイが正解です。

\(\underline{\rm{答. イ}}\)

図7の中央の図よりもポリ塩化ビニル棒を近づけると、(3)と同じく金属板にある電子が金属はくに移動するので、金属板はプラスに、金属はくはマイナスに帯電します。(B=-)

図7の実験では、金属部分全体の電子は外部に逃げたり受け取ったりすることがないため、全体として帯びている電気は常に①のAから変わりません。(A=+)

よって、A=+、B=-となるウが正解です。

\(\underline{\rm{答. ウ}}\)

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